SDGsエデュテーメントコラム

コラム8号 『地球市民教育というアジェンダ 3/3ー②』

2020/10/3
みなさんは【ヘイトスピーチ】をご存知ですか?

 
【ヘイトスピーチ】は、国連が掲げるアジェンダ(国際的な取り組みについての行動計画)の1つです。これは日本だけでなく世界の人権に大きく関係するテーマであると共に、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」・目標10「人や国の不平等をなくそう」・目標17「パートナシップで目標を達成しよう」を実現するために必要なコンテクストだとも言われています。
 
詳しく説明すると「人種、出身国、民族、宗教、性的指向、性別、容姿、健康、障害など自主的に変えることが不可能な事柄について、特定の個人または集団をおとしめ、暴力や差別をあおるような攻撃、迫害、侮辱する発言や言動」のことを、
【ヘイト(憎悪を)スピーチ(扇動する言論)】と表現します。
 
そして国連では、昨年6月21日に『ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画』のプレスリリースを行い、更にはすべての国際人権基準の保護、促進、実施と長年にわたる国連の真剣な取り組みに対して、グテーレス事務総長が自ら世界へメッセージを送るほど重要なアジェンダでもあります。
 
しかし、この【ヘイトスピーチ】は、説明だけを聞くとあまり実感が沸かきませんが、実はとても身近でもあり、知らず知らずのうちに関わる可能性がある問題です。
 
例えば、こんな時、あなたはどうされますか?
 
地元のお祭りの夜、飲んでる席で友人があなたにこんな話をしました。
「ある中学生が、お祭りのイベントのステージで、自分が在日韓国人としていじめられた体験を歌詞にして歌ってるのを見たけど、それがニュースになりSNSにもアップされた」その動画を見ながらその友人が「お祭りの時にああいった唄を歌うのは不謹慎だー!」とテンション高く罵り、それを聞いたあなたは、内容も状況も理解しないまま、その場の乗りで「その通りだ!!」と同調し、変な正義感で、その中学生を批判したツイートをしました。すると今度は、自身のツイートを反論するツイートが来て、少し不安になり戸惑ったけど、他の友人からのいいね!もあって、今度はその反論を更に反論するツイートをしました。
その後、この内容に関するツイートが炎上し、とはいえ同じ考えの人もいるんだと少し安心していたら、後日、弁護士から「ヘイトスピーチ解消法」の条例違反にあたるとして連絡が来たのです。急いでツイートは削除したけど、瞬く間に広がったSNSは社会問題まで発展してしまいました・・・。
 
これは実際にあった話を創作アレンジしたものです。何となく他人事のように感じますが、実は誰もが陥りやすく、知らず知らずのうちに関わる可能性が潜む【ヘイトスピーチ(ツイート)】です。
そして、インターネットやSNSにおける書き込みやリツイートも実は【ヘイトスピーチ】だと知って欲しいのです。
 
しかし、話にも出て来た「ヘイトスピーチ解消法」には個人的にとても疑問があります。
もちろん、苦労の末この規正法が可決したことは大変喜ばしいことなのですが、規制の内容が、外国人に対する差別言動は違反になりますが、日本人に対する言動は問題にならないということです。
理由や経緯はともかく、ここは【グローバルスタンダード】に国内外問わず、誹謗中傷や脅迫行為、受け手が深く傷つくのであれば、それは【ヘイトスピーチ】と法的にも認めるべきだと個人的には思いました。
 
ただ、調べてみると現実は少し違うようで、日本の「ヘイトスピーチ解消法」の規制はゆるく、罰則や禁止もない法律で、こういうのを「理念法」と言うそうです。
そう考えると、例えばネットで誹謗中傷した場合は、「名誉棄損罪」「侮辱罪」「業務妨害」等か、または「プライバシー侵害」等の民事に頼るしかないのが、日本のリアルなベストの方法のようです・・・。
 
とはいえ、京都の朝鮮学校に対して「日本からたたき出せ」などと拡声器を使い大音量で【ヘイトスピーチ】をしたグループに、最高裁は「人種差別にあたる」と活動をやめさせ賠償金を払う判決を下しています。
 
また、近年アメリカでは、この【ヘイトスピーチ】と【言論の自由】が水と油なのに混ざり合い『キャンセル・カルチャー』という不思議な文化がブームになっています。これは比較的著名でセレブリティ(芸能人も含む)たちの過ちを徹底的に追及し糾弾する「コールアウト」の一種で、「You are cancelled(あなたは用無し)」といって切り捨てる何とも恐ろしいボイコットのような現象です。
有名な話しでは、ハリーポッターの作者のJ.K.ローリングが「トランスジェンダー差別」のツイート(ヘイトスピーチ)が大炎上し、世界中を巻き込んだ『キャンセル・カルチャー』の洗礼をうけています。
そしてこの『キャンセル・カルチャー』を逆手に取ったドナルド・トランプ大統領は、2020年7月4日の独立記念日を祝う式典で、奴隷制の維持を求めて南北戦争を戦った南部連合軍のシンボル記念碑(将軍の銅像)を破壊や撤去をする運動に「怒りに満ちた暴徒による【キャンセル・カルチャー】だ!」と非難をしています。(個人的にはこれも【ヘイトスピーチ】に感じます)
 
トランプ大統領といえば『アメリカ大統領選挙』の争点の1つでもある【Black Lives Matter (ブラック・ライブズ・マター/BLM/黒人の命も大切だ運動)】もこの問題に深く関わります。
日本では、「大坂なおみ」選手が全米オープンで犠牲者の方のマスクをつけて世界へメッセージをしたのが記憶に新しいですが、これは警察や自警団の不当な暴力により、黒人の方の命が奪われる事件が相次ぎましたが、いづれのケースも起訴はされず、そのたびに抗議の声が上がり【BLM運動】が、リベラルな若者たちを中心に広がり、警察改革を訴える抗議デモが各地で続いています。
 
ただしみなさん、勘違いしないでください!!
この【BLM運動】の本質は、単なる【ヘイトスピーチ】を無くそうとか『人種差別を無くそう』の運動とは違います。
わたしたち日本人も関係する【人権という正義を勝ち取るための戦い】です。少なくともこの活動に賛同する世界中のアーティストの方々はそう捉えていますし、アメリカの人種関係なく全ての有権者の49%がこの【BLM運動】を支持しています。そしてそれは、アメリカが再び人類の尊厳を勝ち取るために、まるで世界のリーダーシップを取り「フランス人権宣言」のような【Structural Racism(ストラクチャル・レイシズム/構造的な人種主義)】という旗を掲げた運動なのです。
そして、この強風になびく旗こそ、【地球市民教育】という、ミュージシャンの小沢健二さんの言葉をお借りすれば【人種差別ではなく人種主義というグローバル化の必須科目】です。
 
しかし、残念ながらトランプ大統領がいうように暴徒とみられるようなヒートアップした運動家がいるのも事実ですし、バイデン大統領候補が黒人女性のハリス氏を副大統領候補に選んだ理由もこの【BLM運動】にあります。
 
さあ、あなたはこれらのことを知ってどう感じましたか?
 
【SDGs】という【地球市民教育】はこれで終わりません。ここからがスタートで、あなたが何を感じ次へ進むかが大切です。
そして、わたしたちがこういった様々なアジェンダに取り組む時に必要な【SDGsデザイン思考】という1つの指針を取り入れてみませんか・・・。
 
続きはコラムの本編でご紹介します。
 
 
 

コラム8号 『地球市民教育というアジェンダ 3/3ー②』

 
 

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