SDGsエデュテーメントコラム

 
コラム16号『SDGsインデックス(指標・指針)のススメ!3/4』

2020/12/19

【気候変動×スポーツ】、日本はどこまで『リデザイン(再設計)』できるだろうか⁈
 
2020年11月26日、タレントの武井壮の『環境省アンバサダー任命式』が都内で行われ、環境省サスティナビリティ広報大使に就任されました。就任式の後には、小泉進次郎環境大臣と橋本聖子内閣府特命担当大臣(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)の3人で『オリンピック・パラリンピック競技大会』における気候変動対策など【気候変動×スポーツ】の観点から意見交換を行い、その模様がニュースやバラエティー番組でも取り上げられ話題になりました。
しかしこの【気候変動】と【スポーツ】、一見関係性が薄そうな両者が、実際にどんな取り組みをすることで、プロジェクトの目的だと報道された、持続可能な経済社会への「リデザイン(再設計)」を実現するのでしょうか・・・。
 
元々、【気候変動×スポーツ】の取り組みは、2018年12月11日に【国連気候変動枠組条約(UNFCCC)】の事務局とスポーツ界を代表する国際オリンピック委員会(IOC)等を含む17団体が、「パリ協定」の目標達成と【SDGs】への貢献に向けた意識と行動の強化を図る【Sports for Climate Action Framework(スポーツを通じた気候行動の枠組み)】を立ち上げたことが関係し、環境省の今回のプロジェクトもこの枠組みを参考にしています。
そして、この枠組みには、以下の2つの包括的な目標があります。
① 全世界のスポーツ関係者が気候変動と闘うための明確な道のりを定める
② スポーツを総合ツールとして活用し、「地球市民」の気候変動に対する意識と行動を牽引する
 
つまり、スポーツ運営での温室効果ガスの削減の推進とともに、スポーツの人気を活用し全世界で百万人単位での気候変動イニシアチブを取ることです。
また、この枠組みに署名していないスポーツ団体や政府機関、連盟、リーグやクラブに対しても2050年の『ゼロエミッション(廃棄物をゼロにする)経済』の実現と、この枠組みへの参加を促し、「パリ協定」及び【SDGs】に取り組むように求めています。
 
しかし【気候変動×スポーツ】、コンセプトは分かりましたが、具体的には何をすべきなのでしょうか?
 
今回の日本の発表も、なんとなく概念先行で、実際には何を行い、わたしたちは何に協力すべきなのかが分かりにくいと感じました。そこで、国連のイニシアチブに賛同し、既に取り組む海外の具体例を探してみました。
そして、個人的に興味が沸いたのは、【ドイツ連邦議会とドイツサッカー協会】の取り組みです。
2019年11月15日『気候保護法』を採択したドイツでは、日本と同様にスーパーのレジ袋(ドイツは廃止予定)など海洋ゴミなどの環境問題に大きく関係する【プラスチック問題】への取り組みです。
もちろん、ドイツ政府やスポーツ界としてもさまざまな取り組みがありましたが、もっとも興味が湧いたのはサッカー協会がイニシアチブを取る【人工芝サッカーコートのマイクロプラスチック問題】です。これにはメディアでも特集が組まれたり話題になっていましたが、驚いたのは取り組みのスピードで、国連のイニシアチブから1年そこそこで、ドイツ発信からEU(欧州連合)全土に広がり、マイクロプラスチックの制限や禁止に関する法案が発表されていたことです。
 
ここで一つ確認しておきますが、【気候変動】というと、温室効果ガス削減のイメージがあり【プラスチックゴミ】とは別問題と思われますが、「国連気候変動枠組条約」は環境条約で、地球の自然の生態系に悪影響を及ぼすおそれがあることを確認対策し、気候を保護することですし、目的の1つでもある『ゼロエミッション経済』の観点からも重要なテーマです。また、【スポーツを通じた気候行動の枠組み】には【SDGs】への対策も書かれていますので、目標14の『海の豊さを守ろう』という【プラスチックゴミ問題】もこの取り組みです。
 
さて、この【人工芝サッカーコートのマイクロプラスチック問題】ですが、わたしも専門的にはよく分かりませんが、人工芝だけでなく、人工芝の弾力性のために撒かれている顆粒状のマイクロプラスチックがあり練習や試合で、この【プラスチック】が飛び散り、それが雨などで流れ地下水が汚染されることにより、動物や人間に害が出るそうです。
とはいえ現在、【約5000の人工芝サッカーコート】と関係するドイツサッカー協会にとっては、大きな問題であることから学術会議や調査等も行い、数値的には害は少ないと検証されたにもかかわらず、この問題に反論するのではなくゼロエミッションの考え方からも『スポーツ施設は環境に優しくあるべきである』と認め『しかし、スポーツ施設は必要である』と今後前向きに取り組む声明を出しました。また同時に、ドイツの環境大臣も『2025年までの移行期間の設置に努力し、人工芝を持っているクラブのために対策の手引きをまとめる』と協力体制及び前向きな意向を示しました。
そして、既に1年前からさまざまな取り組みも行われているそうで、顆粒状のマイクロプラスチックの代りに砂をまき地元のボランティアが手入れをすることがシステム化されていたり、各施設では取り組みの予算化や政府は補助金対策、そしてクラブや選手、ファンによる寄付金集めを始めた施設もありスピードだけではなく驚きの連続でした。
 
また同時に、スポーツ施設で販売する飲食に【プラスチック容器】を使用しないなど、想像以上に徹底した、政府・スポーツ関係・国民が同じ方向を向き【環境やSDGs】への取り組みを行い意識の高さにとても関心しました。そして更には、この取り組みがサッカー協会だけでなく、ドイツスポーツ界全体にも、またそれを支えるファンにも浸透していて、これが日本だったらと考えると不安を隠せません・・・。
なぜ?そう思うのかというと、環境ベンチャーの「ピリカ社」が昨年、東京湾のプラスチック汚染における浮遊状況調査を行ったデータでは、一番の原因が【人工芝のマイクロプラスチック】だという調査結果を見ていたからです。
関東にはサッカー場だけでなく、ゴルフ場、野球場、テニスコート、学校、大型商業施設など人工芝が使われている施設が多く、そして何よりもレジ袋やペットボトル以上に「プラスチックゴミ」の原因の一番が人工芝であるなら、素人考えですが、【気候変動×スポーツ】という【リデザイン】は、オリンピックのために作られた「新国立競技場」が天然芝であることを自慢するだけではなく、ドイツを見習い【人工芝のマイクロプラスチック問題】から始めるべきではないでしょうか・・・。
 
コラムは、【SDGsインデックスのススメ!】の3回目です。
 
※連載中のエデュテーメントコラムですが、制作における取材及び調査の関係により今後は不定期な連載となります。
 

コラム16号 『SDGsインデックス(指標・指針)のススメ! 3/4』

 
 

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