2026.02.01

千葉県「令和7年度SDGsセミナー」に参加し、基調講演を務めるとともに、ご発表を拝聴しました。

2026年1月20日、千葉県主催の「令和7年度SDGsセミナー」で、当協会専務理事の吉條嘉家が基調講演を務めるとともに、千葉県の優良事例のご発表を拝聴いたしました。ご紹介します。

千葉県「令和7年度SDGsセミナー」に参加し、基調講演を務めるとともに、ご発表を拝聴しました。

2026年1月20日、千葉県(総合企画部政策企画課)主催の「令和7年度SDGsセミナー」が、千葉銀行本店3階大ホールにて開催されました。そこで、当協会専務理事の吉條嘉家が基調講演を務めるとともに、千葉県の優良事例のご発表を拝聴いたしました。

以下、当日の概要をお伝えします。

プログラム等の詳細は、千葉県のホームページをご覧ください。

1:優良事例のご発表について

基調講演(後述)に続けて、優良事例紹介として千葉県内の取組みが報告され、以下2件のご発表を拝聴しました。

 

亀山温泉リトリートさま「私にとってのSDGs~亀山温泉ホテルにおけるSDGsの取組~」

当協会の認定企業でもある亀山温泉ホテルさまからは、自然環境を活かし、利用者の生活を豊かにすると同時に、会社組織の活性化にも貢献する「リトリート事業」についてお話をうかがいました。自社の持つ資源を最大限活用し、お客様に価値を提供するという企業としての創意工夫そのものが、SDGsの実践として位置づけられることが明確に示されていました。基調講演で吉條が強調した「仲間のため、お客様のため」という「利他の心」をもった企業経営が、SDGsの理念と自然と共鳴し、社会課題への取り組みを推し進める原動力であることを、改めて実感できる素晴らしいご発表でした。

*亀山温泉リトリートさまのホームページは、こちら

株式会社ナリコーさま「SDGsに向けた取組における成果と課題(早生桐事業等)」

主に建設業や廃棄物処理業を展開される株式会社ナリコーさまからは、グループ全体で取り組まれているSDGsの実践についてうかがいました。「子ども/地域/世界の人々」という3つの「想い」を背景に、実にさまざまな社会貢献事業に取り組んでおられます。特に、早生桐(そうせいぎり)事業は、CO2削減と地域貢献を果たす素晴らしい実践であり、また創業当時から企業理念として社会や地域経済への貢献を掲げていらっしゃることをうかがい、感銘を受けました。

*株式会社ナリコーさまの地域社会貢献活動の詳細は、こちら

  

手間やコストが重荷になりがちなSDGsへの取り組みですが、2社のご発表を通し、企業としての「利他の想い」こそが、取り組みを大きく前進させることができる原動力であることを改めて教えていただきました。

当協会としても、皆さまの取り組みを後押しすることができるよう、一層、気を引き締めてまいります。

 

2:基調講演のご報告

セミナー冒頭では、当協会専務理事の吉條嘉家が基調講演を務めました。

2.1:アンケート結果

セミナー終了後のアンケートでは、86.5%の皆さまが、「本セミナーに参加したことで自身のSDGsの取組をさらに発展させることができると思った」と回答してくださいました。なお、データは、総合企画部政策企画課さまよりご提供いただきました。

またアンケートでは、基調講演について、以下のような感想をお寄せくださいました(一部抜粋/原文ママ)。

・SDGsと経営理念のつながりを発見できてなるほど!と納得した。
・企業理念とSDGsがミッションとして同じ考えのもとであること。
・基調講演では、盛和塾でのお話、利他の心、理念や夢を持った経営が付加価値につながるというお話が印象に残りました。実際には、SDGsの取り組みが、価値化に繋がっていないと感じており、課題だと思ってます。
・利他の心を持つことが大切であるという話がとても印象に残りました。SDGsは多岐にわたる分野である為、様々なことにアンテナを張り、意識しつづけることが大切なんだと、改めて感じました。
・基調講演は役所職員としてもとても為になるお話でした。企業ではないですが、利他の心を大切にすることが官公庁にも必要だと感じられました。

ご参加いただいた皆さま、ご清聴いただきまことにありがとうございました。

今後の活動に、少しでもお役に立てましたら幸いです。また、SDGsの達成に向けみなさまと一緒に貢献できますよう、今後も努めてまいります。

 

2.2:基調講演の概要

基調講演では、長年にわたり玩具メーカーの経営に携わってきた経験や、公認会計士・税理士としての専門性をもとに、「中小企業の経営戦略」としてのSDGsについて、実利と理念の両面からお話ししました。

概要は、以下の通りです。

 

SDGsの基礎知識――いまさら聞けないSDGsの基礎知識&中小企業とSDGs

講演者:吉條嘉家(一般社団法人日本SDGs協会 専務理事)

1. 歴史的背景と「待ったなし」の現状

SDGsは2015年に突如として現れたものではありません。その前身には、途上国の貧困解決を目指したMDGs(ミレニアム開発目標)がありました。途上国が経済発展を遂げると同時に、地球環境の限界という新たな課題が浮き彫りになったのです。また、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』(1962年)による化学物質汚染への警告や、リオ地球サミット(1992年)からの気候変動対策の流れを紐解き、SDGsが一過性のブームではなく、人類が生存するために避けて通れない歴史的な必然であることを解説しました。

そのうえで、17のゴールが、現在の日本社会において、具体的にどんな課題として顕在化しているのかについても確認しました。

2. 「共感経済」と選ばれる企業

続いて、「なぜ中小企業がいまSDGsに取り組むべきか」について、実務的な観点からその意義を整理しました。

第一に、「採用・組織づくり」の観点です。2015年からの「教育の期間」を経て、「SDGsネイティブ」である現在の若い世代は、賃金や競争条件だけでなく、「成長」「貢献」「仲間」といった価値を重視する傾向にあります。就職先を選ぶ際にも、その企業の理念や社会的意義が問われています。大阪大学の堂目卓生教授が提唱する「共感経済」や、アダム・スミスの『道徳感情論』にみられる“共感を重視する視点”にも触れつつ、経営者が自社の理念を言語化し、事業と結びつけて発信することは、優秀な人材の確保のみならず、組織の一体感(エンゲージメント)の形成にも資する重要な戦略となることを示しました。

第二に、「サプライチェーン」の観点です。大企業を中心に、環境や人権に配慮した調達基準の厳格化が進んでいます。今後、取引先として選ばれ続けるためには、中小企業であっても国際的な基準を意識した対応が不可欠であることが示されました。

さらに、これらを具体的に進めるための「実装に向けた視点」として、補助金等の公的支援策の活用や、SDGsの各目標間で生じるトレードオフ(背反関係)の可視化と調整、そしてデジタル技術を活用した効率的な学習や情報共有の重要性についても提示しました。

3. JAL再生に学ぶ「利他の心」と意識変革

また、京セラ創業者・稲盛和夫氏の「盛和塾」での学びを引用し、SDGsの根底にある理念について掘り下げました。

かつて破綻した日本航空(JAL)が奇跡的なV字回復を遂げた要因は、単なるコストカットではなく、社員の意識(心)の改革でした。「自分だけ良ければいい」という利己的な心から、「仲間のため、お客様のため」という「利他の心」への転換が重要です。現代の物質文明が利己的な欲望を原動力としてきたのに対し、持続可能な未来(SDGs)は、この「利他の心」への文明的転換を求めています。技術革新だけでなく、私たち一人ひとりの「心の覚醒」こそが、地球規模の課題を解決する鍵であると強調しました。

4. 日本的経営とSDGsの融合

講演の結びでは、SDGsのゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」の重要性を再確認しました。夢や理念を語れる経営者のもとには、自然と人が集まります。まずは目の前の従業員や仲間を幸せにし(全従業員の物心両面の幸福)、その輪を地域社会、そして地球環境へと広げていく。SDGsとは、日本企業が古来大切にしてきた「三方よし」の精神を、現代の国際社会の共通言語で語り直したものに他なりません。これからの経営者は、高い倫理観と志を持ち、事業を通じて社会課題を解決していくことが求められています。