2025.07.30
【学生取材】「木から服を作る」:SDGsアパレルの挑戦——Playful株式会社・岡崎圭佑代表へのインタビュー
「木から服を作る」――そんな思わず耳を疑うような言葉に興味を惹かれて、Playful株式会社の岡崎圭佑代表にお話をうかがいました。

Intro
「木から服を作る」――そんな思わず耳を疑うような言葉に興味を惹かれて、Playful株式会社の岡崎圭佑代表にお話をうかがいました。商社での経験を活かしながら、林業とアパレルの橋渡しを目指す新しいビジネス。その中心には、SDGsへの深い想いと、「かっこいい社会をつくりたい」という熱い志がありました。服づくりを通して持続可能な未来を描く挑戦、若い世代に向けたメッセージ。身近な「服」という切り口から、SDGsがもっと身近で面白いものに感じられるインタビューになりました。【記者:山口(学生事業部)】
社長紹介
岡崎 圭佑 (おかざき けいすけ)
新卒で人材ベンチャー企業に入社、主任となり全国1位を達成した後、大手生地商社に転職。社内最高評価を更新し続け、同時にAlveriを立ち上げる。
その後、独立しPlayful株式会社 代表取締役として環境、まちづくり、雇用問題など様々な課題を解決する社会起業家として活動している。
会社紹介
企業名:Playful株式会社
住所:大阪府大阪市中央区備後町1丁目4-6 ラナップスクエア 堺筋本町205号室
HP:https://alveri-sanki.com
電話番号:090-1572-4085
メール:tarako.tarako36@gmail.com
事業内容とこだわり
――業界初のオーダースーツスクールと林業との協働を、かっこよく、楽しく
記者:普段のお仕事について、教えてください。

岡崎圭佑さん(以下、岡崎):そうですね、メインの事業は、オーダースーツ業およびオーダースーツスクール業です。これに加えて、SDGsアパレルを展開しています。具体的には、木から服とか雑貨を作る事業です。
記者:木から服を作るSDGsアパレルですか。初めて耳にしました。御社が大切にしている使命や理念があれば、教えていただけますか。
岡崎:まず僕たちが一番大切にしているのは、「世の中をかっこよくする」ということです。アパレル会社ですから、スーツ制作ももちろん、木から作る服についても、デザインにしっかりこだわっています。おしゃれな人が世の中に増えていってほしいんです。そのうえで、自分たちが社会にどんなふうに貢献できるのかを考えています。
記者:デザインに特にこだわりを持っていらっしゃるんですね。
岡崎:そうですね。アパレル会社ですから、もちろんデザイン性は大事です。ただ、うちの会社の「かっこいい」は、デザインだけでなく、いろいろなこだわりだらけなんですよ。
例えばオーダースーツスクールは、業界初の事業です。僕はもともと、オーダースーツ業界全体を見渡せる商社で働いていました。ですから、業界全体を活性化させるために自分にできることはないだろうかと考えて、これを始めました。ただ服を作るだけなく、業界全体に好循環を生み出して貢献したいという想いが、こだわりの1つかなと思います。

あとは、SDGsアパレルの事業も、会社としてこだわっているものです。もともと、林業に従事している方とお話しているなかから始まったんですね。林業は、現状、それだけではなかなか成り立たない厳しい状況にあります。そんななかで、廃材になるような木材から、糸を作るメーカーさんと出会いました。林業にも貢献できるよう、何回も何回も試行錯誤して、このすごい素材を、品質が良くデザインもかっこいいものに仕上げていきます。これもこだわりですね。
記者:なるほど。ただおしゃれで売れる商品を作るだけなく、社会にも好循環を生み出すというこだわりは、まさにSDGsの実践ですね。
岡崎:そうです。そのほうが、社会もかっこいいですよね。でも、SDGsと聞くと、どうしても「社会貢献!」と身構えてしまいますよね。「こうしなくちゃ」「こうあるべき」というものに囚われがちです。ですから、社名でもある「遊び心=プレイフル」を忘れずに、常に意識するようにもしています。これがあることで、常に「やりたくてやっている」というマインドで、楽しんで事業を展開できている気がしますね。
SDGsアパレルの製品

記者:まさに、木から服を作ってらっしゃるんですね。SDGsアパレルとしては、特にどういった製品を作っていらっしゃいますか?
岡崎:まずはカジュアルなシャツがメインの商品です。スーツも本格的に作り始めています。糸が木でできているだけなくて、ボタンもすべて木で作るんです。そうすると、100%土に還るんですよ。
それから、制服も作成していて、大阪万博やプリンスホテルさんにも採用していただきました。あと、トートバッグとかのバッグ類やタオル類も作っていますね。この糸や生地で作れるものは何でも大丈夫なので、これからも多方面に展開したいと考えています。
記者:なるほど。ただ、木から作る服っていうのは、どんな生地やデザインになるのか、うまくイメージできません。木目が服にデザインされていたりするんですか?
岡崎:繊維だけを取り出して糸を作るので、さすがに木目は見えません。ただ、いま、ある県の木材を使いたいっていうお仕事のお話をいただいているんですが、とても有名な木材なので、生成りの生地に木目のデザインを取り入れようかという案は出ています。進展中なので、詳しくはご説明できないのですが。
記者:そうなんですね。木で作った木目の服、おしゃれですね。完成されたら、ぜひ拝見させてください。
身近にある服を通じた社会貢献
記者:御社の商品やサービスで、どんな人たちのどんな課題を解決していると考えられますか?
岡崎:そうですね。端的に言えば、みなさんがSDGsを意識するきっかけにしていただけるのではないかと考えています。
SDGsという言葉は聞いたことがあるし大事だとは思っているけど、難しそうで、何から取り組んでいいか分からない人たちがたくさんいますよね。その点、服はとても身近です。毎日、服を着ない人はいないですから。例えば、ポリエステルの服を1着、この木の製品にしてもらうことで、自然保護やSDGsの活動に参加してるんだっていう自負を感じてもらえるのではないかと。これが1つの価値なのかなというふうに感じています。
それに、こうして服にSDGsの視点から新しい付加価値をつけることができれば、問題点が多く指摘されているアパレル業界にも貢献できるのではないかとも考えています。
記者:お客さまや地域社会の方々からは、どんな声がありますか?
岡崎:そうですね、“おしゃれ”とか“色が可愛い”とか、服としてのデザインを褒めていただけることがまず嬉しいです。一番大事にしていることですから。糸は、基本的にスギとヒノキから作っていて、生成りの色に近いんですが、その色や風合いが好評なんです。あと、特に女性から、服のデザインを褒めていただくことも多いですね。
加えて、循環型のビジネスモデルになるので、行政の方とか、関連の会社の社長さんに興味を持っていただいて、お声掛けいただいたりもします。とてもありがたいと思っています。
記者:社会問題に向き合い、SDGsという観点で新しい事業を展開されていることがよくわかります。

SDGsへの意識と事業の広がり

記者:岡崎さんが、SDGsを意識し始めたのは、どういったきっかけがあったのでしょうか?
岡崎:だいたい4年くらい前、この事業を開始した時期から、独学でSDGsを学び続けています。僕はもともと商社にいたのですが、そのときには生地の担当でしたから、生地の展示会などにもよく足を運んでいました。その時にたまたま、その糸メーカーさんと出会ったんです。“なんか面白いおじいちゃんいるなぁ”と思って、「木から糸作ってるんですね」って声をかけたら、「ああ、そうですね」って。「で、これを何に使ってるんですか?」って聞いたら、その時はまだ筆箱しか作ってなくて。すごい素材だと思ったのに、「こんなもん服にはならへん」とおっしゃるんで、逆に僕も気合が入りました。「ちょっと服のサンプルを作らせてください」とお願いし、そこからこの事業が始まりました。そこからは、どんどんSDGsにハマっていったという感じです。
記者:そのメーカーさんと出会ったのが、きっかけになったわけですね。
岡崎:はい、そうですね。大事な出会いだったと感謝しています。そこからは、ぼくの人生が本当に劇的に変わりましたね。オーダースーツの事業だけでやってると、もう到底関わりようがないような会社さんが、「なんか面白いことしてる若者がいるぞ」みたいに関心を持ってくださるんです。日本SDGs協会さんもそうですし、上場企業の社長さんであったりとか、いろいろなつながりに支えられています。いまでは、行政と仕事ができるとか、あこがれの社長さんが「お話聞きたい」って声をかけてくださるとか。みなさんと事業を広げていくことができるのは、すごく嬉しいですし、これからがとにかく楽しみなんです。
記者:SDGsの2030年のゴールに向けて、御社が目指す姿はありますか?
岡崎:やっぱり17のゴールすべてについて、オールグリーンっていうところは目指していきたいですね。
やりがいと企業の独自性

記者:一番大きなお仕事のやりがいは、どんなところに感じていらっしゃいますか?
岡崎:本当に、僕たちしか成し遂げ得ないことだという点でしょうか。木から服を作る特殊な技術を使うことで、森林の維持に貢献したり、林業に雇用を生み出したりすることは、ぼくたちしかできません。これを通して、日本全国に共通する課題を、日本全体として解決していきたいと思っています。さらに、このモデルを海外に輸出していく予定もあります。日本のいいものを世界にって考えると、すごくワクワクします。これを、やりがいだと感じていますね。
記者:確かに、ワクワクする計画です!SDGsの観点から服を作るっていうことが、社会貢献でもあり、御社の武器でもあるんですね。
岡崎:現在はまだ、限られたメンバーでコンソーシアムを組み、少数精鋭で服づくりに取り組んでいる段階です。このユニークなビジネスモデルを、今後さらに広げていきたいと考えています。
学生・若い世代へのメッセージ
記者:岡崎さんが、学生や若い人に向けて伝えたいことはありますか?
岡崎:そうですね。特に要求するようなことはないんですが、メッセージでということであれば、“とにかく行動してほしい”ということでしょうか。
おそらく、いまの学生さんは、僕らの世代よりSDGsに詳しいと思うんですよ。授業とか、学校教育の中で扱われていたと思いますし、基礎知識も興味関心もある学生さんが多いと感じています。ですから、その興味を興味だけで終わらせてほしくないなと思います。そこから一歩踏み出して、何でも良いので行動に移してほしい。
僕も勉強中ですが、世界経済と環境っていうのは、ほぼイコールで結び付きつつあります。将来を長期的に見ていくのであれば、環境やSDGsに取り組む企業さんは、さらに増えてくるはずなんですね。僕たちがまさにそうです。ですから、勉強とか体験とか、どんどんしてほしいです。そして、いろいろな機会でSDGsの活動に参加していただけたら、自分の道を拓いていく1つのツールにもなるはずです。
記者:ありがとうございます。今後、学生や他社と連携していきたい分野や事業があれば、教えてください。
岡崎:そうですね。いま私は、日本SDGs協会さんのパートナー企業として、協会さんと共同で事業を進めようとしています。協会には学生事業部という、学生さんが活動できる仕組みがありますから、学生さんには学生事業部に参加してもらって、ぜひ一緒にSDGsの事業を進めていくことができると嬉しいです。
記者:私たち学生事業部としても、とても楽しみです。
岡崎:もう1つは、木の服のビジネスの方にも、学生さんに参加してもらえると嬉しいですね。すでに大学で講義をさせていただいていたりもするんですが、興味のある学生さんがいらっしゃれば、例えば僕が知っている各地の林業の方々や、森林組合さんにおつなぎして、植林とか林業を体験してみてほしいです。あるいは、僕たちの木の服は全部土に還るんで、それを森に返すツアーを組んでみたりとかも面白いと思います。学生さんには、それを手伝っていただいたりとか、参加していただいたりして、一緒に盛り上げていただけたら嬉しいですね。
記者:ありがとうございます。そういった機会を経て、短い時間の中でも意義ややりがいを感じる学生さんは増えるはずです。それをきっかけに、SDGsに力を入れていく学生も増えると思いますので、ぜひそういう機会を作っていきたいと思います。
岡崎:一緒に作っていきましょう。やっぱり、関係人口を多くするっていうことが、とても大事なんです。まず知らないと、行動するところは難しいと思います。ですから、そうした機会はどんどんどん増えたほうがいいですし、SDGsっていうのはやっぱり今後も続けていくものだと思うので。
記者:そうですね。ぜひよろしくお願いします。本日は、まことにありがとうございました。

取材後記:
実際にSDGsに取り組んでいる社長さんのお話を聞くという、貴重なお時間をいただきました。取材を通して印象的だったのは、「かっこよさ」を突き詰める姿勢です。環境や社会課題に向き合いながらも、あくまで「おしゃれ」であることに妥協しない。その美意識が、SDGsを押しつけでなく、自然と生活に溶け込ませてくれるように感じました。 また、岡崎さんの言葉からは、人と人のつながりを大切にしながら、一歩一歩進めてきた挑戦の積み重ねが伝わってきました。学生部の私の立場からも、「何か始めてみよう」と思える力をもらえる、わくわくする時間でした。
記者紹介
山口 仁
日本SDGs協会学生事業部/一般社団法人全国学生就活支援会
中京大学経営学部2年
若い世代としてSDGsに主体的に関わることの重要性を感じ、自ら学び、発信する姿勢を大切にしています。今回のインタビューでは、企業がどのようにSDGsを事業に取り入れ、社会に影響を与えているのかを深く理解し、多くの学生にその取り組みの価値を伝えられるよう努めたいと考えています。
